1989 年 14 巻 1 号 p. 55-59
著しい歯根の吸収をきたした永久歯の4症例を経験した。症例の内訳は男性2例, 女性2例で, 年齢は20歳代と30歳代であった。歯種別では上顎側切歯が2例, 上顎中切歯と下顎小臼歯がそれぞれ1例であった。これらのうち, 2例はX線検査により偶然発見されたものであり, 他の2例は歯痛を主訴として来院した。臨床所見およびX線所見より, 3例は外部吸収によるものと推察されたが, 残る1例については内部吸収か外部吸収かは判断できなかった。著しい歯根の吸収をきたした原因としては, 外傷, 慢性炎症などが疑われたが, うち2例の原因は推定できなかった。