岩手医科大学歯学雑誌
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研究
歯周疾患治療のために訪れた入院患者の全身状態について
松丸 健三郎菅原 教修
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1998 年 23 巻 2 号 p. 80-87

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抄録

岩手医科大学医学部付属病院から歯学部付属病院第2保存科に紹介された161名の入院患者 (男性90名, 女性71名, 年齢12-80歳) について, (1) 年齢, (2) 性別, (3) 全身状態を調査した。 全身状態については, 入院患者からの問診と医師からのデーターを参考にした。全身状態は, 循環器系, 呼吸器系,精神・神経系,消化器系, 代謝疾患, 耳鼻・眼科, 泌尿器系, 皮膚疾患, 筋・関節・骨, 血液, 内分泌に分類した。年齢は, 10-20 歳, 21-40 歳, 41-60 歳, 61-80 歳の 4 群に分類した。

循環器系疾患の総数は51で, 21-40 歳群で1, 41-60 歳群で28, 61-80 歳群で22で あった。精神神経系疾患は第2位 (31) で, 以下, 消化器系疾患と代謝疾患は同数 (いずれも29) であった。 それ以外は, 各疾患ともに 20 以下であった。

以上4つの疾患は, 全ての全身状態の63.1% を占めていた。 循環器系疾患では, そのうちの27.5% は高血圧症であり, 消化器系疾患では,肝炎が 31.0% を占めていた。代謝疾患は, 68.9% は糖尿病であり, 精神・神経系疾患では, 脳血管障害は22.6%, 精神疾患は32.3% 認められた。どの全身疾患の出現率も年齢群でみると41-60 歳群で最高であった。全身疾患の種類を1つあるいは2つ有する患者の比率は 41-60 歳群で最高 (それぞれ59.5%, 58.8%) であるが, 3つ以上有する患者の比率は41-60 歳群と61-80 歳群で最高 (それぞ れ43.8%) であった。

本研究から, 患者の全身状態を把握するためには, 患者の問診からのデータのほかに医師からの詳細なデータを収集することが効果的であると思われる。

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1998 岩手医科大学歯学会
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