1979 年 4 巻 3 号 p. 190-194
ラット舌の網内系細胞の分布を病理組織学的に検索した。 材料は体重250夕前後のWister系成熟雄ラットを使用し,これを2群に分け,それぞれに2.5%リチウムカルミン(L.C.)と4%トリパンプルー(T. B.)を投与し,色素貧食細胞を円形細胞と紡錘形細胞とに大別して観察した。
ラット舌においては上皮下結合組織層および筋層,とくに血管周囲の結合組織にこれらの色素を貧食した細胞を多数認めたが,粘膜上皮および血管内皮細胞などには貧食されていなかった。L.C.投与群よりもT.B.投与群の方が貧食細胞数は著しく多く, T. B.投与により増加したのは主に円形細胞で,しかもこれらの細胞数の増加は上皮下結合組織層では舌体部で,筋層では舌根部で目立った。また貧食細胞の舌内分布では有意の差(P<0.05)をもって舌尖部に多かった。