口腔内体性感覚の大脳皮質投射野の局在と機能を明らかにするため,ネコの口蓋,歯肉,舌などの表皮および歯牙に電気または機械的刺激を与え,金属ボール電極を大脳皮質体性感覚野SI,SHを含む冠状回および前ジルヴィウス外回上に装着して誘発電位を記録し,その陽性primary responseの振幅を指標に解析を行った。口腔内投射は冠状回上で,十字溝の延長線近傍に存在し,顔面部分(毛,ヒゲ)の投射とオーバーラップしているが,両側性でかつ対側優勢であった。口腔内の部位的刺激効果について比較すると,上顎からの投射は下顎からのそれより優勢で,口唇部に近いほど皮質応答電位は大きく,刺激部位が咽頭方向へ移動するに従い,応答電位は小さくなった。刺激の種類によって投射部位に差があり,機械的刺激に対する投射部位は,同一部位に与えた電気刺激の投射部位よりも2-3mm吻側に位置していた。これらの結果は,他の研究老の成績と比較され,さらに咀噛,嚥下の現象に占める生理学的意義について討論され た。
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