岩手医科大学歯学雑誌
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研究
超高磁場MRI装置における歯科用金属の安全性とアーチファクトに対する影響
折祖 研太小林 琢也
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2015 年 40 巻 1 号 p. 38-50

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抄録
本研究では超高磁場MRI装置を用いた生体検査時の歯科用金属の安全性と歯科用金属が及ぼす画像診断への影響を検討することを目的に7T装置における歯科用金属の偏向角測定と歯科用金属の高周波による発熱およびアーチファクトの測定を行った.偏向角測定は3T,7T装置を使用し,牽引力によって生じる偏向角が測定できる装置を作成し,測定を行った.検体は9種の歯科用金属とした.発熱試験とアーチファクトの測定は7T装置を使用し,アガロースゲルを充填した頭頚部ファントムに埋入した検体の温度変化とアーチファクトを測定した.検体はTi 20 g ingotとCo-Cr 20 g ingotとした.発熱試験においては,controlとして金属を埋入していないアガロースゲルのみの温度測定も行った.7T装置における偏向角はNi-Crで31.0°,Co-Crで17.0°であった.Ni-CrはASTMが規定している45°に近い偏向角を認めたため注意が必要であり,取り外してからの検査が必要であることが示唆された.他の金属は7T, 3T装置のどちらにおいても10°未満の軽度の偏向角であったため装着した状態で安全に検査が行える.発熱試験は2D-SE T2WI撮像時のTi ingotとcontrolが0.5℃と最も大きな温度上昇を認め,他の検体はすべての撮像法において0.5℃以下の温度上昇であったことから,これらの材料が超高磁場MRI装置を使用した検査において生体へ影響を及ぼす危険性は低いことが示唆された.アーチファクトはTi ingotにおいてaxialで検体の約3〜8倍,coronalで約4〜7倍の範囲に認め,axialは3D-FSE T2WI,coronalは2D-SE T2WIが最も大きなアーチファクトを認めた.上記より,各撮像法によって得られる画像は,金属の種類によって異なることが示唆された.
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2015 岩手医科大学歯学会
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