岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
原著
含歯性嚢胞ならびに原始性嚢胞に出現するhyaline-body に関する光顕的ならびに電顕的研究
大塚 幸夫武田 泰典
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 9 巻 3 号 p. 192-206

詳細
抄録

含歯性嚢胞ならびに原始性嚢胞に出現したhyaline-bodyを光顕的ならびに電顕的に検索し, その由来について考察を加えた。Hyaline-bodyは含歯性嚢胞52例中11例(11.5%), 原始性嚢胞27例中3例(11.1%)およびそれらの多発例6例中2例(33.3%)にみられた。このhyaline-bodyは嚢胞壁の上皮層内ならびに上皮表面にみられるものがほとんどであった。また, 含歯性嚢胞では埋伏歯歯冠を被う歯小皮とhyaline-bodyとの間に連続性をみるものがあった。透過電顕的にhyaiine-bodyは層状構造を呈していた。Hyaline-body周囲の上皮細胞は胞体内小器官が豊富で, また, 胞体内にhyaline-bodyと同様の電子密度を呈する種々の大きさの顆粒を有する上皮細胞も認められた。走査電顕像ではhyaline-bodyの割面は均一無構造を呈していたが, 自由面は微細層板状構築を呈していた。また, 上皮細胞と強固に結合していることを示唆する所見も得られた。Hyaline-bodyの電子プローブ微小部X線分析ではP, S, Ca, Feが検出されたが, これらはhyaline-body全体に分布し, 特定の元素の局在性は認められなかった。

著者関連情報
1984 岩手医科大学歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top