2009 年 3 巻 p. 49-63
宮城県北部に位置する伊豆沼の中央部において,底生動物相の調査を2006年4月から2008年9月まで行なった.ユスリカ科幼虫6種,貧毛類のイトミミズ科の種群,ヨコエビ類のモリノカマカKamaka morinoi Ariyamaの計8分類群が採集された.底生動物の個体数密度(平均値±SD)は,359±329個体/m2であった.優占分類群は,オオユスリカChironomus plumosus (Tokunaga),(152±114個体/m2),モンユスリカ属の一種Tanypus sp.(155±239個体/m2),イトミミズ科(192±114個体/m2)であった.オオユスリカは富栄養湖及び過栄養湖の指標種である.また,やはり富栄養湖及び過栄養湖の指標種であるアカムシユスリカPropsilocerus akamusi (Linnaeus)が低密度 (6±10個体/m2)ながら採集された.一方,クロロフィルa濃度及びセッキ深度の年間平均値から算出したCarlsonの栄養状態指数 (Trophic State Indices; TSI)は富栄養湖の範囲内の値であった.したがって,現在の伊豆沼は,水質,底生動物相のどちらの面からも富栄養湖と言える.1986と1987年に行なわれた底生動物相の調査報告と比較すると,ユスリカ科幼虫で今回の調査と共通して出現した分類群は認められなかった.当時の調査ではオオユスリカやアカムシユスリカといった富栄養湖の指標種が確認されていないため,その後20年程の間に富栄養化が進行したことが示唆される.