青森県のタビラの生息に関しては,日本海に注ぐ岩木川水系と太平洋に注ぐ高瀬川水系で報告されているが,亜種名が不明瞭であり,在来種かは明らかではない.高瀬川水系で2009年6月に採集した雄は,アカヒレタビラ特有の明瞭な婚姻色を発現していた.雌から搾取した卵22個はすべて鶏卵形で,長径/短径は1.75±0.090であり,アカヒレタビラA. t. erythropterusについての記載と一致した.高瀬川水系は本種の産地と隣接しており,北限の生息地と考えられる.一方岩木川水系で2005年9月に採集した雄は,尻鰭が白色に発現し,シロヒレタビラ特有の明瞭な婚姻色を呈していた.体高/体長は0.351±0.014でシロヒレタビラA. t. tabiraについての記載とほぼ一致した.関西地方に産する本亜種は,岩木川水系においては国内外来種と思われる.