抄録
本研究は,不確実性のために売上高の変動が大きくなり,その分散が拡大する状況では,一般的な理解とは異なり,むしろ企業は固定費化をすすめるという先行研究を精緻化し,拡張している。先行研究では,年度単位の売上高の分散と固定費化を検証していたが,これは売上高の分散の大きさを不確実性の代理変数として捉えていた。そこで本論文では,売上高の分散の内訳に着目し,季節変動のように企業にとって予測可能な分散とそうではない分散が,固定費化に異なった影響を与えるという仮説をたて,四半期データによって検証した。状態空間モデルを用いて分散成分を分解した結果,売上原価については季節変動が固定費化に影響しないこと,販管費については季節変動が固定費化をすすめること,予測不可能な変動は売上原価と販管費の双方の固定費化をすすめることが明らかとなった。