会計プログレス
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リース会計における年金法償却の適用可能性
佐藤 恵
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2018 年 2018 巻 19 号 p. 80-95

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抄録

 使用権モデルの開発過程では,リースを「使用権の取得」と看做す定義が所与とされてきた。ASC842で基準化されたオペレーティング・リースに係る使用権資産の逓増償却は,当該定義と矛盾する処理といわれる。本稿は,IFRS16が当該償却に関して指摘した「弾力性の取得」というもう一つのリースの捉え方の存在を仮説として検証すべく,逓増償却の立論の変遷を辿り,その理論的説明の可能性を探った。本稿は,リースを「借手が残余価値相当額を非拘束化して弾力性を取得する取引」と捉えるならば,弾力性の対価たる「残余価値の資本コスト」の認識パターンによって逓増償却を説明できると結論した。そして当該説明が年金法概念と整合し,年金法の適用を正当化する根拠たり得ると論及した。

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© 2018 日本会計研究学会
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