抄録
本稿の目的は,国際会計基準審議会(International Accounting Standards Board:IASB)が2001 年4 月に設立されて以来四半世紀が経過したことを踏まえ,この間に日本の会計研究者が何を学び,今後どのような研究を進めるべきかについて整理することにある。本稿では,IFRS の適用は必ずしも財務報告の質および比較可能性を向上させ,その結果として市場効果を改善するとは限らない理由について,主として各国の制度的要因の影響に着目して考察を行った。かかる検討に基づき,IFRS 研究は,グローバルな側面のみを対象として完結するものではなく,各国のローカルな制度的要因を踏まえてはじめて成立すると指摘した。また,日本を含め各国の制度的要因は多様で複雑であることが,国際会計領域における研究対象の多様性および分析手法の多様化をもたらしていると指摘した。