2019 年 39 巻 3 号 p. 348-350
症例は62歳女性。生来健康であった。来院前日に喀痰, 咳嗽を認め, 来院当日に発熱, 悪寒戦慄, 体動困難の主訴で救急搬送された。発熱, 低血圧, 意識障害から, 敗血症性ショックと診断し初期治療施行後, 集中治療室に入室した。血液塗抹標本にHowell-Jolly小体を認め, 救急外来で施行したCTでは脾臓の低形成を認めた。尿中肺炎球菌抗原陽性, バッフィーコートで双球菌を認めたため, 脾臓機能低下による侵襲性肺炎球菌感染症と診断した。第7病日に集中治療室を退室したが, 加療中に発生した四肢末端の壊死に感染を繰り返し, 両上下肢切断術が必要となった。脾臓機能低下は侵襲性肺炎球菌感染症のリスクであり, 致命的になることがある。血液塗抹標本のHowell-Jolly小体は, 脾臓機能低下を示唆しているといわれ, 脾臓摘出以外で脾臓機能低下を示す所見としてHowell-Jolly小体を検索することは有用であると考える。