日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
脾臓低形成に伴う侵襲性肺炎球菌感染症の一例
内山 学中澤 太一宮谷 侑祐飯尾 純一郎小川 敦裕沼田 賢治菅原 誠太郎溝辺 倫子本間 洋輔中島 義之高橋 仁織田 錬太郎井上 哲也舩越 拓
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 39 巻 3 号 p. 348-350

詳細
抄録

症例は62歳女性。生来健康であった。来院前日に喀痰, 咳嗽を認め, 来院当日に発熱, 悪寒戦慄, 体動困難の主訴で救急搬送された。発熱, 低血圧, 意識障害から, 敗血症性ショックと診断し初期治療施行後, 集中治療室に入室した。血液塗抹標本にHowell-Jolly小体を認め, 救急外来で施行したCTでは脾臓の低形成を認めた。尿中肺炎球菌抗原陽性, バッフィーコートで双球菌を認めたため, 脾臓機能低下による侵襲性肺炎球菌感染症と診断した。第7病日に集中治療室を退室したが, 加療中に発生した四肢末端の壊死に感染を繰り返し, 両上下肢切断術が必要となった。脾臓機能低下は侵襲性肺炎球菌感染症のリスクであり, 致命的になることがある。血液塗抹標本のHowell-Jolly小体は, 脾臓機能低下を示唆しているといわれ, 脾臓摘出以外で脾臓機能低下を示す所見としてHowell-Jolly小体を検索することは有用であると考える。

著者関連情報
© 2019 日本救急医学会関東地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top