救急業務に関連した事故・ヒヤリハット事例の発生要因を類型化し, 同種事故の再発防止について検討することを目的として, 総務省消防庁「消防ヒヤリハットデータベース」の全掲載事例から救急関連事例を抽出し, 心理的要因について分析した。その結果, 危機認知や注意力の欠如は, 焦りの状況よりも2倍近い頻度で事故・ヒヤリハットに結びつくことが示唆された。また事例の中心要素のうち, 直接要因としては行動の意思決定に関わるもの, 背後要因としては, 事故では集中力や注意力の欠如, ヒヤリハットでは偶然事故にならなかった・運が良かったとするものが最も多かった。これら教訓事例の危機認知や注意力の欠如が起きやすい状況を救急隊員の行動や時系列に沿って検証し, 明確化された直接要因や背後要因を各種危機管理能力向上方策に反映することにより, 今後さらに増大する救急需要に向けて同種事故の再発防止を図ることができると考える。