日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
意識消失発作で救急搬送され筋強直性ジストロフィーと診断した1例
松田 慶士千葉 宣孝杉田 篤紀馬渡 貴之水落 美紀野村 悠里渡邉 和宏齋藤 豪櫻井 淳木下 浩作
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2019 年 40 巻 3 号 p. 229-233

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抄録

症例は40歳代, 男性。意識を消失し, 駅構内の階段から転落したため救急搬送された。来院時, 意識レベルは改善していたが, 特異的な顔貌, 眼瞼下垂, 前頭部脱毛, 全身の筋萎縮を認めた。血液検査で炎症反応の上昇があり, 胸部X線・CT検査では肺炎像を認めたが, その他の検査で意識消失の原因となる所見はなかった。搬送時の身体所見から筋強直性ジストロフィーを疑った。把握ミオトニア, 叩打ミオトニア試験は陽性。針筋電図検査でミオトニー放電を認め, 急降下爆撃音を聴取した。遺伝学的検査で, ミオトニンプロテインキナーゼ (DMPK) 遺伝子のCTG反復配列を約600リピート認めたため, 筋強直性ジストロフィー1型と確定診断した。筋強直性ジストロフィーは多彩な症状を示し, 場合によっては意識消失し死に至ることもある疾患である。意識消失発作は, 救急診療で多く遭遇するが, 本症例のような比較的稀な疾患が隠れている場合があることも念頭に置くべきと考える。

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