日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
院内外の連携により救命し得た帝王切開後肺血栓塞栓症による心停止患者の1例
植地 貴弘浪方 悠西田 耕太郎村上 悠平竹下 諒水野 廉森野 杏子柏 健一郎入福浜 由奈三田 直人大屋 聖郎中森 知毅木下 弘壽
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2020 年 41 巻 2 号 p. 294-298

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抄録

今回, 心停止に至った産褥婦の肺血栓塞栓症患者を院内外の医療者間の連携により救命し, 神経学的後遺症を残さず退院できた症例を経験したので, 考察を加え報告する。症例は, 33歳女性。来院前日に近医産婦人科で帝王切開を行った。その19時間後に胸痛・呼吸苦を訴え, SpO2 80%, 収縮期血圧70mmHgに低下, 肺塞栓症の臨床診断で総合周産期母子医療センターへの搬送が決定されたが, 搬出直前に心停止となり, 直近救命救急センターである当院に搬送された。救急車内収容から10分後に当院に到着した患者は, 一度自己心拍再開したが再度心停止となり, 心停止から17分後にECPRに移行した。その後, 血栓溶解療法を行い, 神経学的予後良好で自宅退院した。本症例では, 救急指令センターから連絡が入った段階で, 事前に取り決めていたルールに則りECPRの準備を行ったことで, 心停止からECPR導入までの時間を短縮できた。

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