日本救急医学会関東地方会雑誌
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症例報告
高齢認知症患者による洗濯用パック型液体洗剤誤飲の1例
藤井 裕人古谷 良輔宮崎 弘志
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2020 年 41 巻 4 号 p. 411-414

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抄録

洗濯用パック型液体洗剤 (以下LDP), いわゆるジェルボールは2014年に日本で発売が開始された。われわれはLDPを誤飲した認知症を有する高齢患者の症例を経験した。86歳の男性。自宅で嘔吐と下痢をしていたため医療機関に搬送された。胃管を挿入すると泡立つ排液が吸引され, 洗剤の香りを認めたため洗剤誤飲と診断された。加療目的で当救命センターへ搬送された。家族の話から自宅にあったLDPを誤飲したことが判明した。来院時は肺炎, 急性腎障害, 脱水を認めた。酸素投与, 補液, 肺炎に対して抗菌薬の投与を行った。27日間の入院加療後に自宅へ退院となった。海外においては認知症患者のLDP誤飲による死亡事故が発生しているが, 日本では認知症患者のLDP誤飲に対する危険性の認識は乏しい。医療従事者はその危険性を認識するべきである。また, 認知症患者の介護者に対しての情報提供が必要である。

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