日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
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症例報告
ジフェンヒドラミン中毒により心肺停止をきたした1例
鈴木 恵輔加藤 晶人光本 (貝崎) 明日香沼澤 聡杉田 栄樹中村 元保香月 姿乃井上 元柿 佑樹中島 靖浩前田 敦雄森川 健太郎土肥 謙二
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2021 年 42 巻 2 号 p. 35-38

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抄録

ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬であり過量内服により多彩な中毒症状を呈するが, 重症例では最悪死に至ることがある。近年インターネットなどで取り上げられ, 自殺目的での中毒症例の増加が懸念されている。今回, 市販の抗ヒスタミン薬の大量服薬により心肺停止に至った症例を経験したので報告する。17歳女性。公園内で倒れているところを通行人が発見し救急要請。ジフェンヒドラミン12,000mg内服したと推定され, 救急隊現着時には心肺停止状態であった。当院救命救急センター来院時も心肺停止状態であり蘇生することはできず永眠となった。後日ジフェンヒドラミンの血中濃度を測定したところ, 来院時の血中濃度は26.73µg/mLと過去に報告されている心肺停止症例と比較しても高値であった。OTC医薬品として簡単に手に入る薬剤での死亡症例のため治療側も販売側も十分に注意していく必要があると考えられる。

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