日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
子宮留膿腫破裂により汎発性腹膜炎, 重症敗血症性ショックをきたした1例
加藤 秋太鈴木 美麗赤星 昂己小崎 良平岩崎 恵安達 朋宏吉川 和秀小島 光暁庄古 知久
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2021 年 42 巻 3 号 p. 71-74

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抄録

患者は69歳女性。うつ病で他院精神科に入院中に血圧低下を認め, 敗血症性ショックの疑いで当院へ転院となった。来院時ショックであり, CT検査で多量の腹水と骨盤内に被包化された液体貯留腔, 腸管外遊離ガスを認めた。下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎の疑いの術前診断で緊急開腹手術を行った。開腹すると腹腔内は悪臭を伴う多量の膿性腹水, 高度に菲薄化し一部壊死した子宮を認め, 内部には白色膿が貯留していた。子宮留膿腫破裂による汎発性腹膜炎の診断とし, 子宮膣上切除術, 腹腔洗浄ドレナージ術を行った。その後, ICUで循環動態の維持, 人工呼吸器管理, 抗菌薬治療, DIC治療など集中治療を行った。全身状態は改善したが, 意識障害が残存し第25病日に気管切開術を行い, 第34病日にICUを退室, 第101病日にリハビリテーション病院へ転院した。高齢女性の骨盤内膿瘍や腹膜炎では, 本疾患も鑑別にあげる必要があると考える。

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