【背景】アンギオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) などのレニンアンギオテンシン (RA) 系阻害薬は心・腎保護作用の観点から処方頻度が高い。発熱, 下痢, 嘔吐, 経口摂取低下などのシックデイには, 急性腎障害 (AKI) のリスクがありレニン・アンジオテンシンン (RA) 系阻害薬は休薬を指導することが日本腎臓学会からも提唱されているが, 周知度は高くない。【症例】70歳台男性。腎硬化症によるChronic kidney disease (CKD) G3aでオルメサルタン, アムロジピン処方あり。カンボジア観光旅行に行き, 約8回/日の水様下痢が出現するも, ARBを含め内服を継続した。帰国後体重7kg減と嘔気にて近医を受診しCr 9.8mg/dLを指摘され当院に紹介入院となった。乏尿でありCrは13.4mg/dLまで上昇したが, 補液, ARB休薬にて自尿は回復した。腎機能もCr2.9mg/dLまで改善したため第9病日自宅退院した。旅行者下痢症からの脱水症およびARBによるacute on chronic kidney diseaseと考えられた。【結語】シックデイにはRA系阻害薬を休薬することが重要である。