2021 年 42 巻 4 号 p. 95-99
2型糖尿病でipragliflozinなどを経口内服治療中の51歳の男性。受診の7日前から嘔吐と下痢が始まり, 症状が改善せずに救急受診となった。初診時は高血糖やケトーシスを認めず急性胃腸炎と診断され帰宅となったが, すぐに症状が再燃し, 嘔吐に加え脱力の症状も出現したため翌日に再度救急受診となった。このときに患者が過度の食事制限を行い, 3週間で17kgと著明な体重減少をきたしていたことが判明した。検査所見と上記情報から本症例は正常血糖ケトアシドーシスと診断し, 緊急入院で輸液・カリウム補充・インスリン投与を行い, 第15病日に軽快退院した。Sodium glucose co-transporter (SGLT) 2阻害薬内服患者が体調不良などで救急診療をする際には正常血糖ケトアシドーシスを発症している可能性もあるが, 本症例のように初診で急性胃腸炎や脱水症などと診断される恐れもあり, 救急医にとってこの疾患を想起することは重要であると考えられた。