2018 年 30 巻 p. 32-
本研究では援助要請者に対する周囲の対応方略とその対人印象の違いを、要請者特性との関係から 明らかにすることを目的とした。対象者は都内の私立大学で障害分野を専攻しない学生144名であり、質問 紙調査を実施した。各要請者(視覚障害のある人・赤ちゃんづれの母子)への対応方略と対人印象につい て尋ねた。対応方略では、視覚障害条件と母子条件の対応には質的な違いが認められ、χ2 検定及び残差分 析の結果、視覚障害条件の方が母子条件よりも【能動的な援助の提供】の人数が多く、【援助への消極的態度】 の人数が少ないことが明らかとなった。対人印象では、因子分析の結果、3 つの因子(社会的不利因子、 反助力因子、交流志向性因子)が示され、視覚障害条件はより不自由で困難な印象が強く、母子条件はよ り交流しにくい印象が示された。要請者特性によって、周囲の対応が異なることが明らかにされたことから、 様々な特性理解に広がる実践の観点を取り入れた教育内容・方法の開発が必要と考えられる。