日本福祉教育・ボランティア学習学会研究紀要
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身分制度による差別の本質に迫る授業の実践
小学校6年生日本史「解放令」における部落差別の実際を学習して
坂本 晃一
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2020 年 35 巻 p. 68-79

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抄録

小学校 6 年生の社会科(日本史)「新しい時代の幕開け~解放令の実際~」として行った、人権課題「同和問題」を扱った授業実践の考察。本校は東京都教育委員会による「人権尊重教育推進校」の指定を受け、 5 つの人権課題を授業で取り組み系統的に研究してきた。「同和問題」は 3 年(皮革産業)⇒ 5 年(食肉市場)⇒ 6 年生(身分制度と部落差別)で職業差別に関連させて継続して行った。本時では、明治時代初期の改革による四民平等の流れの中で、実際には差別はなくならず厳しい状況に置かれ続けた「農民」による新政府への不満(一揆)がさらに弱い立場の「被差別部落の人々」への襲撃として向けられる事例を取り上げた。身分制度による偏見・差別の不合理さは現代社会や児童自身の問題と重なるという気付きまで発展させた。差別のつながりや構図を理解し、差別の本質を考えることで人権感覚が育ち、児童の生活において自他の尊重ができる心の育成をねらいとした研究実践である。

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