2022 年 38 巻 p. 76-89
本稿は、ワークキャンプ参加者の〈ゆらぎ〉の様相を把持し、その学びの特徴を明らかにすることで、ワークキャンプの現代的意義を再構築しようとするものである。ワークキャンプ初参加者へのインタビュー調査の結果、以下の二点が明らかになった。第一に、ワークキャンプは、ボランティア活動そのものに関する概念の〈ゆらぎ〉に加え、青年期の特徴とされる「心理・社会的危機」に関連する多様な〈ゆらぎ〉を促す実践であった。第二に、ワークキャンプには、多層多元的な学習構造が内在・外在しており、特に、様々なタイプの〈三者関係的相互作用〉は参加者の行動場面の拡張を促すものであった。今後、ワークキャンプにおける学びの意義の再構築へ向けて、ワークキャンプ参加者と学習構造の相互作用を一定の時間の 中で捉えていく必要性とともに、ワークキャンプにおける外在的な学習構造を視野に入れた実践の構築および分析を行う必要性が見出された。