生命倫理
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脳死・臓器移植に対する看護学生とその親の認識
齊田 菜穂子
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2007 年 17 巻 1 号 p. 100-109

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抄録

学生とその親の脳死や臓器移植に対する考えを明らかにすることを目的として調査を行った。内容は、対象者の属性、脳死・臓器移植の賛否、脳死・臓器移植に関する知識、死生観の項目である。有効回答は学生と親がペアになる274名(137組)で、脳死を人の死と容認する学生は93名で、親は81名だった。自分がドナーになる希望は189名(69.0%)で、家族をドナーにする希望は79名(28.8%)であった。学生と親のペアでは、学生も親も自分自身はドナーを希望するが、家族がドナーの場合はどちらも望まない意見が有意に高かった(p<0.001、p<0.001)。家族がレシピエントになることは学生も親も望んでいるが、自分の場合では親の希望は低かった。そして、臓器移植の賛否には、年齢、宗教、医療者への信頼、脳死の考え、死生観と関連がみられた。移植医療に関わる看護師は、本人と家族の間で臓器移植に関する考えのずれが約半数あることを考慮し援助していくことが必要である。

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2007 日本生命倫理学会
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