生命倫理
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現代アメリカの無保険者問題と医療保険改革
天野 拓
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2007 年 17 巻 1 号 p. 152-159

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抄録

アメリカでは、国民皆保険が存在せず、歴史的に民間中心の医療保険制度が発展してきた。重要なのは、こうした制度のもとでは、現在約4600万人以上の無保険者が存在する点、さらにその数が近年急速に増加している点である。無保険者は、医療へのアクセスという面で深刻な制約を受けるとともに、その増加は、本人の健康状態のみならず、社会全体に広範な影響を及ぼす。しかし、リベラリズムが衰退し、保守主義が台頭する現在の政治状況のもと、政府による無保険者対策はなかなか進展していない。こうしたアメリカの無保険者問題の現状は、「医療は権利か否か」、「医療へのアクセスの保障は、個人の自己責任か、政府の公的責任か」という根源的な問い(対立)を提起する点で重要である。現在無保険者問題がさらに深刻化するなか、全ての人間に適正な水準の医療を受ける権利を保障する、セーフティー・ネットの構築を行う必要性は、ますます高まりつつある。

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2007 日本生命倫理学会
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