生命倫理
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報告論文
アドバンス・ケア・プランニングに関する一考察
‐米国のアドバンス・ディレクティヴに関する取組みを通して‐
足立 智孝鶴若 麻理
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2015 年 25 巻 1 号 p. 69-77

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抄録

 近年、専門家の間で人生の終盤期における医療に関する意思決定を考える場合に、アドバンス・ディレクティヴ(以下AD)よりもアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)という言葉が広く用いられるようになっている。しかし両者の違いや関係性は必ずしも明確でない。そこで本稿では、ADの制度化を進めてきた米国の取組みを中心にADの歴史およびその課題を整理し、ACPとの関連性及び可能性について考察する。米国では法制度の中でADを位置づけてきたが、概してAD作成率は期待したより低く推移してきた。その要因として、ADの医療実践上の問題やADに対する患者の期待との相違等の問題が考えられた。問題改善のためには、患者と関係者との継続的な話し合いの必要性、話し合いは患者の価値観やケア目標を含めた内容であること、話し合いによる患者と関係者との信頼関係の構築が含まれる。これらを改善することで結果的にAD作成率の向上につながることが示されている。これら一連のADを実施する上での改善点がACPに含まれる構成要素であり、ADもACPの核をなす構成要素と考えられる。

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