生命倫理
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報告論文
赤ちゃんポストの今後のあり方を見直す
‐日独の現状を比較しながら‐
阪本 恭子
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2015 年 25 巻 1 号 p. 78-86

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抄録

 「こうのとりのゆりかご」が熊本に設立されて2015年で8年が経った。同設備は人工妊娠中絶や児童遺棄から新生児を救うために15年前からドイツで作られる赤ちゃんポストを手本にする。本稿は、日本のゆりかごの現状と課題を把握し、ドイツにおいて赤ちゃんポストの代替策となる最近の動きを紹介して展望を描くなかで、赤ちゃんポストの今後のあり方を見直す。

 第1章で、2014年9月発行の「こうのとりのゆりかご検証報告書」から見える問題を分析して課題を見出し、その対策となる一案を示す。第2章では、2014年5月にドイツで施行された、妊婦に安全な出産を、子どもには出自を知る可能性を保証する内密出産法を概観して制度の今後を展望する。第3章では赤ちゃんポストについて、それを必要とした社会の一員として生き始めている赤ちゃんポストの子どもの幸せに目を向け、その是非ではなく意義を問う。

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