2017 年 27 巻 1 号 p. 64-71
手術看護における倫理的課題に働きかける実践知とは何かを明らかにすることを目的とし、手術看護認定看護師13名に面接調査を行った。実践知の概念にはアリストテレスのフロネーシス論を用いた。分析は、データを出来るだけ文脈から切り離さない形でテーマ化した。分析の結果、患者にとっての手術の意味を知り、その価値を守る【患者の尊厳を保つ】、周術期のプライマリーナースとして患者と関わる【患者と共にある】、手術チームが倫理的であるよう働きかける【チームを導く】、手術医療の動向や時代のニーズをケアに活かす【時代を捉える】、より善い実践を生み出すために必要なことを自分自身の中に求めていく【より善いものを求める】の5つのテーマが抽出された。これらのテーマから、実践知が5つの時間的、空間的な広がりを見せていることが考えられた。多様な倫理的課題に柔軟に対応出来る実践知が重要となり得ることが示唆された。