生命倫理
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報告論文
がん医療における倫理的問題の特徴を考える
-国内の臨床倫理ケースブックの分析から-
中田 亜希子和田 千穂子木村 安貴田代 志門
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2018 年 28 巻 1 号 p. 31-39

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抄録

 本稿の目的は、既存の臨床倫理に関するケースブックを網羅的に収集し、倫理的な課題ごとに整理・分類したうえで、がん医療とそれ以外の医療における倫理的課題の特徴を探索的に検討することである。

 CiNii Booksの検索エンジン等を用いて抽出した10冊(133ケース) のうち、多職種での討論に適した89ケースを対象とした。倫理的な課題ごとに分類した結果、「人生の最終段階における治療選択」、「療養場所の選択」、「情報提供のあり方」、「医療者が必要だと判断した医療・サービスの拒否」、「医療資源の配分」、「抑制・行動制限」、「虐待」、「その他」の8カテゴリーが得られた。「人生の最終段階における治療選択」の中の内訳はがんとがん以外の医療とで大きく異なっていた。また、関係者間の意見の対立のパターンごとに分類した結果、がん医療の場合は「患者対スタッフ」「家族対スタッフ」の他に「患者対家族」というパターンが挙げられていたことが特徴的だった。

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2018 日本生命倫理学会
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