生命倫理
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生と死に関する考察 : 医学の立場から(第 5 回学術大会発表原著)
坂上 正道
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1994 年 4 巻 2 号 p. 130-136

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抄録

日本の中未来の予測として大切な問題は、急速な長寿社会の形成である。今後技術進歩はさらに進み、この医療への波及によってさらに5〜6年の寿命の延長が予想される。人間は生きつづけて寿命まで至り、死へ向かうこととなる。したがって長寿におけるQOLの維持が医療的に大切である。同時に死へ向かっての存在として形而上的な論理形成が必要となる。医学もまた、脳生理学的に、生きていく姿に対し発言しており、前頭葉の訓練が人間の価値をも支配するという。現在、医の倫理、生命倫理また医生物学的ガイドライン(例えばヘルシンキ宣言)などという分野が討議を続けている。これらは混沌としているけれども、やがてディシプリンとして形成されていくであろうが、その範疇をはっきりさせ、かつ社会経済的倫理との関係も開いておくことが必要である。

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1994 日本生命倫理学会
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