生命倫理
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患者と医師の人間関係 : 倫理的課題(第 5 回学術大会発表原著)
棚橋 實
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1994 年 4 巻 2 号 p. 137-140

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抄録
患者と医師の人間関係は理念的にも歴史的にも医療行為の源泉を担うものであったが、今日、医療技術の急激な発達と共に生じてきた倫理的な諸問題、すなわち患者の価値観を尊重する慢性疾患の増加、高齢化現象、終末医療などによって再認識される必要がある。価値に関わる医療の意味の変化は従来の医療行為の意義に変革を迫るものであり、患者の主観性、自律の尊重に対して、患者と医師の人間関係は倫理的な領域で中心的な役割を果たすものとなる。この関係で重要なのは、患者と医師の間における「対話」であり、それを通して患者の主観に基づいた治療の選択、患者の自律の尊重に役立つことが考えられる。さらにこの関係において育つ人間的な「共感」に基づいて、新たな医療の局面に対処できるものと確信している。
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1994 日本生命倫理学会
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