生命倫理
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脳死・臓器移植問題への提言(第8回日本生命倫理学会年次大会セッション「脳死・臓器移植」)
伊藤 幸郎
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キーワード: 脳死, 臓器移植, 死の判定
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1997 年 7 巻 1 号 p. 75-79

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抄録
脳死からの臓器移植問題を論じるための出発点は脳死臨調全員の一致点「自分が脳死状態になったら進んで臓器を提供したいという意志を明確に表明している善意の人がいた場合、第3者が臓器提供を阻止することはできない」である。脳死を人の死とすることへの反対論は依然根強い。しかし脳死を人の死としない場合は脳死者の死亡時刻を臓器摘出時とせざるを得ず、レシピエント側の抵抗感が強い。そこで現在国会に提出中の臓器移植法案の「死体(脳死体を含む)」の文言はこの法律の適用範囲(臓器移植)の場合に限るという但し書きをつけることを提案する。また医師へのガイドラインに「脳死判定は次にとるべき行動(臓器提供または尊厳死)が明らかな場合にのみ行う」と明記する。それ以外の場合は家族の感情を重視しつつ「とりあえずの処置を行う」ことを続けてよい。脳死は未然に予防すべきで、脳死からの臓器移植も将来はゼロにすべき過渡的医療である。
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1997 日本生命倫理学会
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