動物の行動と管理学会誌
Online ISSN : 2435-0397
原著論文
タイストール連続繋留に伴うストレス反応の推移
黄 宸佑矢用 健一
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2021 年 57 巻 4 号 p. 127-136

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抄録

繋留による行動制限はウシのストレス要因と考えられるが、ストレス反応の時間的変化についての報告は少ない。そこで、ウシの行動および生理反応を指標として、連続繋留期間の経過に伴うストレス反応を明らかにすることを目的とした。ホルスタイン種雄去勢牛8頭を供試した。2日間のフリーバーン飼育(pre)と10日間のタイストール飼育(d1-d10)期間に、個体維持行動を20:00から06:00まで記録した。同時にホルター心電計を用いてAB誘導法により心電図を記録した。得られた心電図から心拍間隔変動解析により心拍数(HR)および自律神経活動であるlow-frequency power(LF)、high-frequency power(HF)およびLF/HF比を算出した。なお、毎日15:30に頸静脈から採血し、血漿中コルチゾール濃度を測定した。行動時間割合は、preと比べ、タイストールでは首を曲げて頭部を体側に乗せる睡眠姿勢が少なかった(P < 0.05)。睡眠姿勢以外の伏臥位休息(P < 0.05)、立位(P < 0.05)及び摂食(P < 0.05)は、タイストール期間に増加し、バウト数が多くなった(P < 0.05)。また、d2からHR(P < 0.05)及びLF/HF(P < 0.05)が上昇し、HFが低下した(P < 0.05)。血漿コルチゾール濃度はd1からd10までpreより高い値を示した(P < 0.05)。夜間における睡眠の減少は、タイストール繋留による行動制限に起因した行動学的なストレス反応と考えられたことから、ウシがタイストールへ移行後長期間にわたってのストレス状態にあることが確認できた。

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