日本の動物園において、サシバエによるトナカイの吸血被害が発生している。サシバエ防虫剤として、フルメトリン1%製剤噴霧の有効性を明らかにすることを目的とし、動物園の飼育雄トナカイ3頭を供試した実験を行った。製剤施用前に行動を調査し、3日後に四肢および腹部にフルメトリン1%製剤10 mlを噴霧した。トナカイの行動を施用後3日目および12日目の10〜15時の間、1分毎に観察した。また、トナカイ体表のサシバエ数を目視およびビデオカメラ画像から計測し、製剤施用前と製剤施用後3日目、または12日目についてMann-Whitney検定によって寄生数と身繕い行動数を比較した。施用後3日目のサシバエ最大数および身震い出現回数は、施用前に比べて有意に減少した。摂食行動出現割合は施用後3日目に、摂食持続時間は施用後3日目および12日目に有意に増加した。