肉用牛の鼻環は国内で広く使用されているが、装着時の痛みに伴うストレスは十分に研究されていない。本研究では、鼻環装着によるストレス反応がウシの発育ステージにより異なるかを検討した。若齢時(2-4ヶ月齢)および成長後(12-14ヶ月齢)の黒毛和種雌牛を供試し、鼻環装着の有無で処置群と対照群に分け、装着直前(0分)、装着後5、15、30、60および120分の心拍数、自律神経活動、コルチゾール濃度、鼻孔舐め行動を記録し、処置群と対照群の差分値を解析した。両発育ステージにおいて、5分時点の心拍数と鼻孔舐め行動が増加した(p<0.05)が、試験群間の差はなかった。コルチゾール濃度は、いずれの試験群でも上昇した(p<0.05)が、上昇幅は若齢時の方が小さく、基底値まで戻る時間も短かった。以上より、鼻環装着時のストレスは発育ステージによって異なり、若齢時の方がストレス負荷は低いことが示唆された。