2017 年 26 巻 1 号 p. 21-28
心理面接においては,既定の治療手続きに従えないクライエントが存在する。本研究では,治療中断を経験してきたクライエントに対して,合わせとずらしを用いる試みについて検討した。クライエントは窓ガラスを触ると性的に興奮を覚え,他人の住居のガラスを触り警察に捕まった。セラピストは,クライエントの考えや行動を受け入れ,その後,合法的にガラスに触れられるよう導いていった。本事例から,(1)クライエントがこだわっている考えや行動に対して合わせること,(2)クライエントのこだわりが少ない部分に変化を加えて望ましいゴールへ導くこと,が有効であることが示唆された。