ブリーフサイコセラピー研究
Online ISSN : 2432-9371
Print ISSN : 1880-5132
研究報告
「カサンドラ症候群」を訴えた女性クライエントとの面接:ナラティヴ・セラピーで探求する新たな物語
廣瀬 雄一
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ジャーナル 認証あり

2021 年 29 巻 2 号 p. 53-64

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抄録

本研究では「カサンドラ症候群」について,ある女性クライエントに対する面接過程を題材として論じた。近年,わが国で注目されるようになった「カサンドラ症候群」概念であるが,その心理支援についてはこれまで十分な検討がなされてこなかった。それに対し,今回セラピストはナラティヴ・セラピーを用いた臨床実践を試みた。女性クライエントは共感性に乏しく,些細なことに激怒する夫との難しい関係に悩んでいた。セラピストはそこで,「外在化する会話法」を活かしながら,彼女が「ユニークな結果」を通じた新たな物語を見出せるよう支援した。その結果,夫の「頼れる存在」としての価値に焦点が当たり,家族の物語は変化し,その関係は改善へと向かった。

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© 2020 日本ブリーフサイコセラピー学会
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