抄録
DICER1症候群は,DICER1遺伝子の変異により多様な腫瘍を発症する家族性疾患である.甲状腺腫瘍は本疾患の主要な表現型であり,女性で多く,乳幼児から若年期に多結節性甲状腺腫や稀に分化癌が発症するため,8歳から3年ごとの超音波検査が推奨される.甲状腺腫瘤の超音波画像所見では,嚢胞成分と充実成分の混合エコー像が多く認められることが報告されているが,その腫瘤像は多彩であり,悪性所見が疑われる場合には注意深い観察が必要である.甲状腺腫瘤を伴うDICER1症候群の自験例4例について,その超音波像を交えながら報告する.