抄録
張力型展開構造物は,収納性に優れ,さらに軽量かつ高剛性という点で,人工衛星の太陽電池パドル等への応用が期待されるが,張力制御機構にスティックスリップが生じた場合に構造全体にどのように影響するかを評価しておくことが設計上重要である.本講演では,張力型展開構造物のスティックスリップ現象をともなう大型衛星の姿勢運動を,平衡点の移動をともなう線形動力学モデルとして定式化し,スティックスリップによって発生する周期外乱に対する姿勢安定性を時間領域および周波数領域で評価する手法を提案する.本手法を実機衛星ADEOSの解析に適用し,フライトデータに見られた異常振動を再現する.