日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
救命救急センター入院患者の家族システムの健康に関する記述的研究
榊 由里
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2006 年 1 巻 3 号 p. 60-70

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抄録

救命救急センター入院という経験は,患者のみならずその家族にも大きな衝撃を与える.本研究は,この家族成員の救命救急センター入院という経験が,その家族システムの健康に与える影響を明らかにすることを目的に行った記述的研究である.対象は 220 家族システムであり,研究者が開発した,家族システムの健康を測定する尺度(family systems health measurement:FSHM)によりデータ収集した.220 家族システムのうち,112 は家族成員の救命救急センター入院という経験をした家族システム,残り 108 はその経験をしていない家族システムで,2 群間の比較検討を行った.
分析の結果,救命救急センター入院患者の家族システムと,そうではない家族システムの比較において,FSHM 得点に有意差はなかった.しかし救命救急センター入院患者の家族システムのほうが FSHM 得点は高く,家族システムの健康の度合いが高い傾向にあった.これは予測していた結果に反するものであり,家族成員が救命救急センターに入院するという経験をしても,家族システムの健康の度合いは低下することがないことが明らかになった.このことより,救命救急センター入院患者の家族システムが本来持つ,成長する力や自己回復力を強化するような看護介入の必要性が示唆された.

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© 2006 日本クリティカルケア看護学会
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