日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
ICU の人工呼吸器装着患者が体験したコミュニケーションの困難さと用いたコミュニケーションの方略
山口 亜希子江川 幸二吉永 喜久恵
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2015 年 11 巻 3 号 p. 45-55

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抄録

 ICU の人工呼吸器装着患者が体験したコミュニケーションの困難さ及び患者が用いたコミュニケーションの方略を明らかにした.対象は,ICU で気管挿管のもと人工呼吸器を装着した患者3名及びその患者を担当した看護師8名であった.患者及び看護師を対象に参加観察を行い,患者を対象に参加観察で得られたデータをもとに半構造化面接を行った.得られたデータを質的帰納的に分析した.患者は【身体機能が低下し代替手段が使いにくい】【痛みや苦しみをありのままに伝えられない】【メッセージを理解されるまでに時間がかかり苛立つ】【メッセージを理解されたか分からず安心できない】【ほったらかされ不安になる】困難さを体験していた.また,【看護師がメッセージを理解しやすい方法を考え伝える】【患者の持つエネルギーで精一杯伝える】【メッセージの送信を諦める】などのコミュニケーションの方略を用いていた.患者のコミュニケーションの困難さを軽減する看護実践として,患者の言語的メッセージの送信を援助する,患者に明確なフィードバックを返信する,患者のコミュニケーションの困難さへの対処を援助することの重要性が示唆された.

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© 2015 日本クリティカルケア看護学会
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