日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
ICU に緊急入室した患者の家族支援としてのエキスパートナースのコミュニケーションプロセスの認識
西開地 由美高島 尚美
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2015 年 11 巻 3 号 p. 35-44

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抄録

 本研究は,ICU に緊急入室した患者の家族と関わる時に発揮されているエキスパートナースのコミュニケーションプロセスの認識を明らかにすることで,ICU における看護師のコミュニケーション能力育成について検討することを目的とした.エキスパートナース9名を対象に半構造化面接を行い,修正版グランデッド・セオリー・アプローチを参考に分析した.
 その結果,ICU に緊急入室した患者の家族支援としてのエキスパートナースのコミュニケーションプロセスの認識は,【これまでの経験から関わりを習得している】【瞬時の知覚や経験に基づいた推察による関わり方を判断する】【家族に気遣い,現状が理解でき不安が軽減するように支援する】【看護師として家族の危機的状況に関わるという使命感をもつ】の4つの側面が抽出された.エキスパートナースのコミュニケーションプロセスの認識は,危機的状況にある家族のニーズを満たすために,瞬時に関わりを判断しチーム全体を視野に入れた適切なコミュニケーション行為を通して支援されており,それらは,経験を振り返ることで習得され,使命感に方向づけられたものであるという特徴があった.コミュニケーション能力育成の視点としては,体験型の学習による経験知の獲得とその可視化が必要であることが示唆された.

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© 2015 日本クリティカルケア看護学会
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