日本クリティカルケア看護学会誌
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研究報告
ICU入室中の患者のサーカディアンリズム調整に対する看護師の認識とせん妄予防を目的としたケアの実態およびICUの物的環境に対する調査報告
田口 豊恵中森 美季林 朱美井村 弥生
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2016 年 12 巻 1 号 p. 73-79

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抄録
本研究の目的は,ICU 入室中の患者のサーカディアンリズム調整に対する看護師の認識とせん妄予防のためのケアの実態およびICU の物的環境について明らかにすることである.研究対象となるICU は,福祉保健医療情報WAMNET ホームページより選出し,1年目は286 施設,2年目は193施設に郵送法にて調査を依頼した.結果,ICU の殆どの看護師は,ヒトには約24 時間のサーカディアンリズムがあり,せん妄発症要因の1つに睡眠覚醒リズムの乱れがあることや十分な光を浴びないとサーカディアンリズムに変調をきたす契機になることを認識していた.そのための工夫として,主に,照明やセデーションの調節を実施していることが明らかになった.せん妄予防のケアとしては,患者が日常使っているものを身の回りに置くなど細やかなケアが取り入れられている一方で,睡眠薬の投与や必要時に身体を抑制するなど患者を管理する傾向がみられた.物的環境の特徴としては,約6割が横一列のベッド配置であり,照明は蛍光灯が大半であった.ICU に勤務する看護師は,患者個人のサーカディアンリズムの変調を予測したケアを実践・評価していく必要がある.
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© 2016 日本クリティカルケア看護学会
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