日本クリティカルケア看護学会誌
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原著
気管挿管患者の口腔ケアにおける汚染物の回収の効果と口腔衛生状態及び流れ込みの程度
田戸 朝美山勢 博彰
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2018 年 14 巻 p. 103-111

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抄録

【目的】気管挿管患者の口腔ケア時の汚染物の回収の効果と口腔衛生状態及び流れ込みの程度を明らかにする.
【方法】75 名のICU 入院患者に対し,口腔ケア時に清拭法,洗浄法,吸引ブラッシング清拭法のいずれかの汚染物回収方法を実施した.回収の効果は口腔ケア時の細菌数とATP 値,口腔衛生状態は抜管直前の客観的口腔内評価と口腔内水分量及び口腔内細菌の保有率,流れ込みの程度はカフ汚染度を評価した.
【結果】汚染物の回収の効果は,細菌数はいずれも有意に低下したが,ATP 値は清拭法で有意な低下はなかった.口腔衛生状態は,各方法で客観的口腔内評価に有意な差はなかったが,洗浄法は他の方法よりも口腔内水分量が有意に低く,常在菌の保有率が高かった.カフ汚染度は有意差を認めなかったが,洗浄法で高かった.
【結論】汚染物の回収の効果のみに着目すると,洗浄法が効果的であった.口腔衛生状態は,洗浄法で常在菌の保有率が高かったが,口腔内水分量が不足していた.清拭法と吸引ブラッシング清拭法では水分量が保持されていたが,吸引ブラッシング清拭法の方が清拭法よりも病原菌の増殖抑制の効果が期待できた.流れ込みの程度は,洗浄法で流れ込みやすいことが示唆された.

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