日本クリティカルケア看護学会誌
Online ISSN : 2187-400X
Print ISSN : 1880-8913
ISSN-L : 1880-8913
研究報告
胸部大動脈瘤で手術を受ける患者の入院前から退院後までの体験
大友 千夏子高島 尚美
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 14 巻 p. 87-98

詳細
抄録

本研究は,胸部大動脈瘤(TAA; Thoracic Aortic Aneurysm,以下TAA と記す)で手術を受けた患者の手術前から退院後の体験を明らかにすることを目的とし,半構成的面接法を用い修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した.7名の分析の結果,術前は《自覚症状がない中で強いられる苦悩を伴う一者択一の手術決断》等をしていた.手術後,《予測とは異なるコントロール不能な体験への対処》をしながら,次第に《自分で自由に生活行動が行えることで回復を実感しはじめる》ことへと変化し,《手術の成果への空虚感を抱きながらの日常生活への仕方なしの受け入れ》をしながら《弱みを抱えながら元の生活に戻ることへの折り合い》をつけていた.TAA で手術を受けた患者の体験の特徴は,元々,自覚症状のない中で生死に関わる手術を受ける意思決定を迫られ,「不確かさ」が手術後の生活の質に影響を及ぼしていたと考えられた.

著者関連情報
© 2018 日本クリティカルケア看護学会
前の記事 次の記事
feedback
Top