2023 年 19 巻 p. 12-24
【目的】高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマと関連要因を明らかにする.
【方法】264名のクリティカルケア看護師に,横断的に質問紙調査を実施した.
【結果】190名の有効回答における探索的因子分析の結果,第1因子【患者の気持ちに寄り添えないことによる倫理的ジレンマ】,第2因子【過去の経験や価値観による倫理的ジレンマ】,第3因子【看護師間の意見の相違による倫理的ジレンマ】で構成された.項目平均値は第1因子が最も高く,第3因子が最も低かった.高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマとの関連は,医療安全風土尺度の<自由なコミュニケーション>等の計7項目が示された.
【結論】高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマを軽減するために,医療安全風土を構築する必要性が示唆された.