日本クリティカルケア看護学会誌
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最新号
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原著
  • 松本 蘭, 城丸 瑞恵
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 36-46
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/07/13
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,成人期以降にある患者とその家族に対して新人救急看護師がエンド・オブ・ライフケアを行う際に抱く困難感を明らかにすることを目的とした.6名の新人救急看護師に半構造化インタビューを行い,質的帰納的に分析した.

    分析の結果,92コード,16サブカテゴリーから【救命から看取りへの方向転換に自分を沿わせることの難しさ】,【苦痛を伴う治療方針への割り切れなさ】,【患者に対応する際の自分自身の判断と技術への悩み】,【先輩看護師の言動に対するやるせなさ】,【患者と家族が死への過程でどのように時を過ごしたいのか考え,援助することの難しさ】の5カテゴリーが抽出された.

    本研究の結果から,新人救急看護師ならではのエンド・オブ・ライフケアを行う際に抱く困難感として,[苦痛を伴う治療方針に対して割り切れない],[自分の行為をきっかけに患者の病状が悪化することが怖い]という思いを抱いていたことが明らかとなった.

  • 井上 千穂, 齋藤 信也, 古賀 雄二, ローレンス 綾子
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 47-57
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/07/13
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,日本の看護師が通常用いている「不穏」という用語に関する概念分析を行い,その定義を明らかにすることである.概念分析の方法は,Schwartz-Barcott & Kim法を参考にした.分析の結果,看護師は,患者が過活動状態にあり,その行動が理解できなかった場合および,患者に看護師の意図が伝わっていないと感じた時に患者が「不穏」状態にあると判断していることが明らかとなった.また,そこでは,患者に指示がうまく伝わらないことにより,「危険をはらんでいる」のではないかという看護師の不安が,過剰な鎮静薬の使用や不必要な身体抑制につながっている現状も伺えた.さらに,いわゆる「不穏」に相当する英単語は1つではなく,それぞれが意味する状態が,日本語では「不穏」と広く表現されていることがわかった.特に「不穏」の最も一般的な日本語訳とされる「agitation」は,我が国の看護師が使用する用語としての「不穏」の一部しか表しておらず,英語との用語・概念の相互共通性は必ずしも担保されていないことが明らかとなった.

  • 山田 知世, 中村 美鈴
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 107-120
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/10/19
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究の目的は,人工呼吸器装着中の急性・重症患者のComfortニーズを捉えるためのアセスメント指標を作成することである.先行研究を基にKolcabaのComfortの概念に基づいてアセスメント指標原案を作成し,これらの適切性をデルファイ法を用いた2回の質問紙票調査と専門家会議にて調査を行った.質問紙票調査の対象はクリティカルケア領域の認定看護師495名,専門家会議の参加者は人工呼吸器患者看護精通した急性・重症患者看護専門看護師であった.

     結果,最終的に患者のホリスティックなComfortニーズを捉えるための36項目のアセスメント指標が作成された.社会文化的側面を含めたホリスティックな視点から情報収集しComfortニーズを捉え,それに対する看護実践を行うことが患者のComfortにとって重要であると示唆された.本アセスメント指標を患者の標準看護計画に取り入れ活用する.これにより患者のComfortニーズをより的確に捉えられる可能性があることが示唆された.

  • 井川 由貴, 山本 奈央, 遠藤 みどり
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 144-156
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/08
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,消化器外科手術における周術期各期の特徴を踏まえた看護実践を明らかにすることを目的とした.研究デザインは質的記述的研究.術後回復を評価するQoR-40Jの安寧,感情,身体機能,患者援助,痛みの5 要素を参考に,看護師5名に半構造化面接を行った.結果には術前の「周術期全般の不安緩和」「主体的な術後行動への患者教育」を含む5カテゴリー,術直後~1日目の「術後不快感の理解と安楽の提供」「術後疼痛の軽減」「早期離床援助と活動拡大への見極め」を含む7カテゴリー,術後2~3日目の「ADL自立を患者自ら目指す離床援助」「継続的な術後疼痛管理」を含む6カテゴリー,術後5~6日の「継続的な心理サポート」「生活をイメージした患者中心の退院支援」を含む5カテゴリーが抽出された.術後回復促進の看護実践は,実践知の蓄積や個別性の尊重,安全管理や連携強化により更なる向上が見込めると考える.

  • 佐藤 みえ
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 197-206
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/12/05
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究目的は,集中治療室における浅い鎮静中の人工呼吸器装着患者の主体性を支える看護実践を明らかにすることである.集中治療室における人工呼吸器装着患者の看護経験をもつ看護師4名に半構造化面接法でデータ収集を行い,質的帰納的に分析を行った.

     分析の結果,6つのテーマが抽出され看護実践は【体力消耗を軽減し身体を整える】【患者に寄り添い感情を汲み取る】ことをしながら,挿管しているため【声が出なくとも伝えられる安心感を作る】【患者の知りたい思いを尊重し現状理解を助ける】【動き出すのは患者の日常と捉え安全にできるよう支える】【患者と共に日常を取り戻す】であった.

     本結果より,看護師は患者の主体性を発揮できるよう心身を整え,患者が生活の感覚を取り戻す関わりや患者の目標に対して協働する看護を実践していることが推察され,これらは浅い鎮静中の人工呼吸器装着患者の主体性を支える看護の一助になることが示唆された.

  • 大江 理英, 杉本 吉恵
    原稿種別: 原著
    2023 年 19 巻 p. 207-218
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】救急看護師の自律性尺度の開発と尺度の信頼性と妥当性を検証する.

    【方法】救急看護師の自律性尺度原案の表面妥当性と内容妥当性を確認し,救急看護師の自律性尺度案77項目について3408名の救急看護師を対象に無記名自記式質問紙調査を実施し信頼性と妥当性を検証した.

    【結果】有効回答は434名.救急看護師の自律性尺度案は探索的因子分析で3因子33項目が抽出され,信頼性としてCronbachのα係数による内的一貫性,再テスト法により安定性,妥当性として看護の専門職的自律性測定尺度・DPBS・職務満足測定尺度との基準関連妥当性が確認された.

    【考察】救急看護師の自律性尺度は救急患者と家族の擁護と治療推進と回復支援を自ら考え行動する尺度項目で構成された.

    【結論】救急看護師の自律性尺度は,信頼性と妥当性を有する尺度であると確認された.

研究報告
  • 鮫島 由紀子, 緒方 久美子, 坂梨 左織
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 1-11
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/04/21
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,クリティカルケア領域において代理意思決定を行った患者家族の体験を明らかにすることである.緊急入院した患者の処置や治療について代理意思決定をし,患者の回復過程を見守る家族5名に対して半構成的面接を実施し,質的帰納的に分析した.その結果,代理意思決定を行った家族の体験として5つのコアカテゴリーが抽出された.家族は,【生と死紙一重の戸惑い】の中で【選択の余地のない意思決定】を行い,患者が生命危機を脱し回復過程を辿る経過にて【予見できない患者との生活像】という体験へと移行していた.さらに【窮地で差し伸べられた周囲からの支援】と【ニーズが満たされないもどかしさ】という相反する体験をしながら,【選択の余地のない意思決定】を中心とした代理意思決定を体験していた.患者の回復過程を見守る家族が救命後に直面する現実は,新たな困難を生じさせる可能性もあり,支援の必要性が示唆された.

  • 佐藤 里奈, 土肥 眞奈, 叶谷 由佳
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 12-24
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/05/18
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマと関連要因を明らかにする.

    【方法】264名のクリティカルケア看護師に,横断的に質問紙調査を実施した.

    【結果】190名の有効回答における探索的因子分析の結果,第1因子【患者の気持ちに寄り添えないことによる倫理的ジレンマ】,第2因子【過去の経験や価値観による倫理的ジレンマ】,第3因子【看護師間の意見の相違による倫理的ジレンマ】で構成された.項目平均値は第1因子が最も高く,第3因子が最も低かった.高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマとの関連は,医療安全風土尺度の<自由なコミュニケーション>等の計7項目が示された.

    【結論】高齢患者への身体拘束の実施に関してクリティカルケア看護師が抱える倫理的ジレンマを軽減するために,医療安全風土を構築する必要性が示唆された.

  • 吉田 里奈
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 25-35
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/07/01
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究の目的は,心臓外科手術後に回復が困難となった患者の治療中断や差し控えに関する代理意思決定を担う家族への卓越した看護実践を明らかにすることである.看護師13~20年の4名へ対し半構造化インタビューを実施し,事例毎に解釈を行いテーマ化した.結果,4事例の看護実践を示すテーマは,【回復への希望と死の受容という相反する気持ちを抱く家族を支えた実践】【生きていること自体に希望を見出し1人で頑張る長女を支えた実践】【家族の異なる意向を大切にして医師を説得し看取りにつなげた実践】【治療に同意してきた家族の後悔を和らげ看取りを支えた実践】であった.看護師は患者の擁護者として治療の是非を問い葛藤していたが,関係する人々の関係性を大切にして家族を支援していた.早い段階から患者本人にとって何が最善かを考え,多職種と連携して意思決定に参入することが,患者擁護の観点から重要であると示唆された.

  • 辻尾 有利子, 上辻 杏
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 65-75
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/09/13
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,PICUに入室した子どもの親の思いとニーズを明らかにすることを目的とし,14名の親に半構成的面接を実施し,質的帰納的分析を行った.親の思いは【普段と違う子どもの姿への衝撃】【見通しがきかず心中穏やかでない】【子どもの状態改善への願い】【プロフェッショナル集団に対する安心感】【子どもに自由に会えない葛藤】【親としての責任と重圧】等の8カテゴリーで,親のニーズは【親の意向を尊重した治療やケア】【落ち着いて子どもの傍に居られる環境】【子どもの病状や成長発達に関する情報】【希望を見出せる医療者の対応】【今までと同じような子どもとの関わり】【他の家族員からの理解と協力】等の8カテゴリーであった.親は,見通しがきかず不安の中,医療者に信頼を寄せ,子どもの回復を願っていた.そして,親の意向が反映された医療,落ち着いた環境,病状と成長に関する情報,ケア参加,他者の協力を求めていた.

  • 髙崎 亜沙奈, 竹嶋 順平
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 76-86
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/09/13
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究の目的は,クリティカルケア看護師が惨事ストレスを乗り越えるプロセスを明らかにすることである.研究参加者10名に対して半構造化面接を実施し,M-GTAを用いて分析を行った.

     クリティカルケア看護師が惨事を目の当たりにした直後は,【感情のコントロール不能な状態】や【自責の念を抱く】.しかし【体験を受けとめる仲間の存在に支えられる】ことで,徐々に【自分の感情に折り合いをつける】.さらに,【惨事ストレスを糧とした看護の探求を進める】中で,【惨事ストレスに強い自分になる】.そうして,あらためて【惨事に遭遇した家族へのケアの再認識と実践】をしていた.この一連のプロセスの中に,【瞬く間に過ぎる時間と記憶の風化】があった.

     クリティカルケア看護師のメンタルヘルスへの支援は,組織としての取り組みを計画的にかつ継続的に行いながら,個人のレジリエンスを高める支援について,研修等を通して啓発していく必要性があると示唆された.

  • 吉本 早由利, 江川 幸二
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 87-98
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/09/14
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:院内迅速対応システム(以下RRS)の導入・運営において,院内迅速対応チーム(以下RRT)に所属する看護師(以下RRT看護師)の工夫を明らかにする.

    方法:RRSの導入・運営に携わるRRT看護師9名にオンラインによる半構造化インタビューを行い,質的帰納的に分析した.

    結果:【RRSを運営するための中心的な役割を担う】【病院全体で組織的にRRSに取り組めるように働きかける】【病棟看護師や主治医が相談しやすい環境を作る】【RRTメンバーが活動しやすい環境を作る】【医師と連携する】【心停止や重症化を予防する活動をする】【RRSの効果を評価する】という7つのカテゴリーが抽出された.

    結論:スムーズにRRSを導入し継続して運営するには、看護師が主導してトップダウンでRRSを導入し,多職種や他部門と協力してRRT要請件数を増加させて実績を積み,その効果を病院全体に示し人的サポートを受けることである.

  • 田戸 朝美, 立野 淳子, 山勢 博彰
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 99-106
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/09/27
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】気管挿管患者への口腔ケアマニュアル改訂とICU看護師に対する教育動画による効果について明らかにする.

    【方法】介入とした口腔ケア教育は,改訂したマニュアルに基づいた動画を閲覧するものである.評価項目は,「看護師の口腔ケア手技(患者の体位,歯ブラシ使用,ブラッシング時間,保湿剤使用,口腔ケア時間)」と「患者の口腔内衛生環境(汚染度,細菌数,保湿度)」で,介入前後で比較した.対象看護師は,1施設のICUに勤務し,日勤帯に対象患者の口腔ケアを行った非介入群12名,介入群13名である.

    【結果】口腔ケア手技では,介入群の方が体位の角度が高く,歯ブラシと保湿剤の使用が多かった.ブラッシング時間は,介入群でより長かった(p=0.01).口腔内衛生環境の汚染度は,介入群でより少なかった(p=0.01).細菌数,保湿度に差はなかった.

    【考察】看護師の口腔ケア手技が向上したのは,口腔ケアマニュアルの改訂と動画による教育によって,その必要性が浸透したためと考えられる.

  • 渡辺 かづみ, 遠藤 みどり, 渡邊 泰子, 山本 真基子
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 121-127
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究の目的は,急性期病院における看護師の呼吸音副雑音に対する聴診技術と弁別力の現状と,シミュレーター活用による介入効果を明らかにすることである.2施設から27名の協力者を得て,聴診の順序・部位・呼吸副雑音の弁別等11項目について,データを収集した.次に無作為に2群に分け,介入群に呼吸音聴診シミュレーターを用いた介入を行い,その後両群のデータを収集した.各項目の介入前後の平均得点と平均変化量を算出した.両群間の平均変化量の差を項目毎にt検定を用いて比較した.有意水準は,p<0.05 とした.介入前の聴診部位では,鎖骨上,第6から第8肋間,背部の区域(Segment:以下S)6の実施が低く,呼吸副雑音の弁別では,水泡音と捻髪音の正答が低かった.平均変化量は,鎖骨上,S6,S10の聴診部位と,笛声音の呼吸副雑音の弁別において,介入群の方が対照群と比べて有意に得点が高く,介入の効果が認められた.

  • 西本 葵, 佐居 由美
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 134-143
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/08
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,クリティカルケア領域における熟練看護師が行う,患者に安楽をもたらすケア実践について明らかにすることを目的とした.クリティカルケア領域にて7年以上臨床経験のある看護師8名に半構造化インタビューを実施し,質的記述的に分析した.熟練看護師は,【患者の身体の観察により直接的に得られる指標】【患者から発せられる指標】【機器類より得られる指標】をもとに患者の安楽を判断し,ケアに繋げていた.安楽なケアは,【先を見据えた対応で苦痛を最小限にする】【避けられない苦痛を極力抑えて乗り越えられるよう整える】【非日常の中に安心できる時間をつくる】【真の気持ちに寄り添う】の4つのカテゴリで構成された.集中治療による避けられない身体・心理的苦痛を前提とした中で,いかに苦痛を最小にし,最善に整えるかという視点がクリティカルケア領域における安楽なケア実践の特徴として示された.

  • 牧野 夏子, 内山 真由美
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 172-183
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/29
    ジャーナル オープンアクセス

    目的:COVID-19重症・中等症患者の看護実践における困難の実態を明らかにする.

    方法:COVID-19重症患者の看護実践を行った看護師5名,COVID-19中等症患者の看護実践を行った看護師6名の計11名に面接調査を実施し質的記述的に分析した.

    結果:COVID-19重症患者の看護実践における困難は【明確な治療戦略が確立していないなかでの看護ケアのもどかしさ】等の6カテゴリー,COVID-19中等症患者の看護実践における困難は【隔離環境下において患者に接近できないことに伴うケア介入の難しさ】等の5カテゴリーが生成された.【感染する危険を抱えながら実践する看護ケアの恐怖】等は共通した困難であった.

    結論:COVID-19重症・中等症患者の看護実践では,感染する恐怖や心身の負担など多岐に渡る困難が生じており,更に患者の重症度により看護師の困難に相違があることが明らかになった.

  • 大田 麻美, 益田 美津美
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 219-233
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/12/28
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究は,タスクシフト/シェアにより変化する救急外来における急性・重症患者看護専門看護師(CCNS)の実践を明らかにすることを目的とし,CCNS 11名に対し半構造化面接を行い,M-GTAを用いて分析を行った.結果は,【救急患者の利益を看護の側面から追求し続ける】というCCNSとしての基盤や,【CCNSの本質を見失うことなく組織の最適化を模索する】などのタスクシフト/シェアが持つ意味の探求,【再構築の真っただ中にあってもチームで救急患者を救えるように多職種間の潤滑剤となる】などの行為から導き出された行為からなる11カテゴリー2コアカテゴリーを見出した.CCNSは,自らが持つ能力や役割を生かし,CCNSの本質と変革者としての姿勢を見失うことなく,変化する救急医療体制において着実に働きかけ,ケアとキュアが融合した救急看護の提供へと導いていた.

  • 高取 充祥, 眞嶋 朋子, 山内 英樹
    2023 年 19 巻 p. 234-244
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/12/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】救急医療施設に搬送された患者の蘇生処置に立ち会うことを選択した家族の体験を明らかにする。

    【方法】患者の蘇生処置に立ち会うことを選択した5名の家族に対し,診療録調査・半構造化面接法を行い,質的帰納的に分析した。

    【結果】[救急隊に託した蘇生処置の決断][最期まで患者と共にいることへの希求][蘇生処置に立ち会うことで生まれる患者への深い思い][蘇生処置中断の決意][搬送から死別までの医療者への感謝][最善がつくされた実感][最期まで患者らしく生きることへの希求]の体験が得られ,患者と共に過ごしたこと等が立ち会いにつながっていた。

    【結論】家族が意思決定を行うことへの支援、プロトコールを用いた蘇生処置立ち会いへの支援、家族に専属で対応できる看護師の必要性が示唆された。

  • 内田 美穂, 中村 美鈴, 室岡 陽子
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 245-256
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/12/29
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】クリティカルな状況にある患者の終末期治療における家族の代理意思決定支援に対する中堅看護師の困難と対応を明らかにし,今後の実践上の示唆を得る.

    【方法】中堅看護師に対し,半構造化面接を実施し質的帰納的に分析した.

    【結果】研究参加者は11名であった.分析より【病棟全体での家族支援にむけた態勢づくりに難渋し,風土の改善へ意気込む】などの11のカテゴリを見出した.

    【考察】中堅看護師は先行きの不確かな状況に揺らぎ不安な心情でいる家族への関わりに悩みながらも,心理的に最も近い医療者として家族のペースに合わせ,家族の心情を推し量り,中立的な立場で家族の意思決定を支持していた.しかし,医療チームとして認識の薄い医師との関係調整に困難を抱き,対応は様々であった.また,病棟全体での家族支援に向けスタッフへの働きかけに困難を抱き,行為まで至らず支援を求めていると考えられた.

    【結論】中堅看護師の困難と対応として11のカテゴリを見出し,中堅看護師の困難解消に向けた支援の重要性が示唆された.

  • 中村 美鈴, 吉田 紀子, 丸谷 幸子, 松沼 早苗, 町田 真弓, 茂呂 悦子, 明石 惠子, 宇都宮 明美
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 257-268
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/01/19
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】急性・重症患者の回復を促す看護実践の構成要素を明らかにし,その関係性を検討する.

    【方法】急性・重症患者看護専門看護師になるための教育を受けた者23名を対象にフォーカス・グループ・インタビューを行い,「回復を促す看護実践」を主軸とし,データを質的記述的に分析した.

    【結果】急性・重症患者の回復を促す看護実践として,回復を促すための思考,回復を促す実践,回復状況の評価,回復に影響する要因の大カテゴリとその構成要素が明らかになった.

    【考察】回復を促す看護実践は,患者の回復レベルを基盤として,患者を気づかい,省察しながら実践していたと考えられた.また,回復を促すための思考,回復を促す実践,回復状況の評価は連関し,回復へのポジティブな要因とネガィブな要因と看護体制が患者の健康レベルや回復の程度に影響している関係性が特徴であると考えられた.

  • 林 詳子, 網島 ひづる
    原稿種別: 研究報告
    2023 年 19 巻 p. 269-282
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2024/02/22
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,術後の回復過程により療養の場を移行する患者への継続的なせん妄ケアに対するICUと病棟看護師の認識と看護実践を明らかにすることである.ICUと病棟看護師の各6名を対象に,半構造化面接を行い,質的帰納的に分析した.その結果,継続的なせん妄ケアに対する認識は,ICU看護師が【療養過程における患者の心身の変化の理解】を含む4カテゴリ,病棟看護師が【回復状態・病棟に合わせたケア方法】を含む4カテゴリに分類された.看護実践は,ICU看護師が【継続するためのケア内容の共有】を含む4カテゴリ,病棟看護師が【引き継がれた内容を評価・修正したケアを提供】を含む3カテゴリに分類された.ICUと病棟看護師のカテゴリやそれらに含まれるサブカテゴリ,コードの名称には,両者の実践の場・内容による特徴が示された.ICUと病棟看護師は患者の回復に合わせて,せん妄ケアを実施していたが,さらにより効果的なせん妄ケアを継続するためには,双方の認識や看護実践状況を理解し合う重要性が示唆された.

実践報告
  • ―アクションリサーチによる取り組み―
    伊藤 聡子, 明石 惠子
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 19 巻 p. 58-64
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/07/13
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】アクションリサーチによって変化した循環器病棟看護師のせん妄に関わるケアを記述することである.

    【方法】せん妄ケアに関心のある看護師と研究者がせん妄患者のケア方法を討議し,それを病棟看護師に周知して実施し,評価・修正を繰り返した.会議の逐語録や振り返りの記録などからせん妄に関する意識と行動を抽出し,せん妄ケアの課題,方策,気づき,ケアの変化を記述した.そして全体の流れから,看護師の意識と行動が大きく変化した時点を転換点とし,局面と捉えて命名した.

    【結果】看護師のせん妄ケアの局面は【病棟のせん妄に関するケアの状況把握とその対策につなげる方法の模索】【せん妄事例の発症要因の探求とケアへつなげる手立ての発見】【事例カンファレンスの重要性の認知と検討結果の実践への適用】と命名できた.

    【考察】アクションリサーチによって,せん妄評価の導入,個々の患者に応じたケアの実践など,病棟全体の看護師のせん妄に関するケアを変化させた.

  • 奥山 広也, 門馬 康介, 峯田 雅寛
    原稿種別: 実践報告
    2023 年 19 巻 p. 128-133
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/10/26
    ジャーナル オープンアクセス

    【はじめに】侵襲的陽圧換気を受けている患者の入浴介助は,QOLを向上させるケアと推察されるが,安全管理や労力対効果を考慮すると実施困難な看護ケアである.

    【症例】脳幹出血を発症し,集中治療を経て一般病棟で侵襲的陽圧換気を受けている50歳代男性.

    【看護実践】看護師のみで患者に入浴を提供するため,主治医,集中治療医,臨床工学技士と連携し,入浴による身体への影響を考慮して,特定行為「侵襲的陽圧換気の設定の変更」を行った.入浴中は人工呼吸器の患者データと間欠的なSpO2値と身体所見を把握した.人工呼吸器には防水・防湿対策を行った.有害事象は発生しなかった.入浴後に患者の笑顔がみられ,快刺激を与えられた.

    【考察】特定行為研修修了者が特定行為を活用することで,看護師のみで侵襲的陽圧換気を受けている患者に入浴を提供できた.多職種連携と患者および人工呼吸の安全管理とスタッフの負担軽減を達成できたことが成功要因だと考える.

    【結語】侵襲的陽圧換気の設定の変更を活用し,安全に入浴介助ができた.

短報
  • 松山 周平, 佐野 文昭
    原稿種別: 短報
    2023 年 19 巻 p. 157-165
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/16
    ジャーナル オープンアクセス

     A病院は高度急性期機能を備えた病院であり,急性期疾患から慢性期疾患にわたり,呼吸ケアに関する様々な課題を抱えている.その一助として,当院には呼吸サポートチームが存在する.チームは多職種で構成され,主な活動内容は,月に一回の院内スタッフに対する呼吸ケア関連の勉強会の実施,週に一回のチームによる対象患者の回診,月に一回のチームスタッフミーティングの開催の3点である.これらの活動を通じて判明した今後の課題として,呼吸サポートチームへコンサルトができる職種を拡大すること,マニュアルを簡略化した手順書の掲示,呼吸サポートチームとしての活動を維持することの3点が挙げられた.特に,3点目に挙げた活動の維持は最も重要な課題であり,そのためには院内での継続的な呼吸サポートチームの普及活動,さらにその臨床意義と有効性を裏付ける学術的アプローチも同時に必要である.

  • 石川 幸司, 堀 友紀子, 作田 麻由美, 岡林 志穂, 河原崎 麻美, 佐野 加緒里, 寺地 沙緒里, 古賀 雄二, 村上 香織, 大江 ...
    原稿種別: 短報
    2023 年 19 巻 p. 166-171
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/16
    ジャーナル オープンアクセス

     災害拠点病院は事業継続計画(BCP)の策定が必要である.本研究はICUにおけるBCPの策定,運用,点検に関する状況から集中治療室の災害に対する備えに関する実態を明らかにすることを目的とした.全国153のICUから回答を得た.BCPを策定しているのは119施設(77.8%)であり,そのうちICUの内容を記載しているのは69施設(58.0%)であった.BCPを策定する特定のチームがあるのは101施設(84.9%)であり,策定チームには治療室所属の看護師や災害有識者が半数以上を占めていた.BCPの運用経験を有しているのは実災害で7施設(6.0%),訓練で68施設(58.7%)であり,BCPを点検しているのは94施設(81.7%)であった.BCPを策定している施設は多いが,ICUに関する記載がある施設は半数程度であった.災害に対する備えとしては,策定したBCPの運用,点検も含めた管理が重要である.

その他
  • 古賀 雄二, 伊藤 聡子, 井上 和代, 冨田 亜沙子, 山田 奈津子, 藤野 智子
    原稿種別: その他
    2023 年 19 巻 p. 184-196
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/11/29
    ジャーナル オープンアクセス

     本研究の目的は,COVID-19パンデミック開始段階の看護師の心理社会的反応に関する文献レビューから,今後の再パンデミック発生時の対策に関する示唆を得ることである.分析対象は,文献データベースを用いて抽出された1072文献をもとに,最終的に28文献とした.記載内容は①パンデミックにおける心理社会的反応と原因,②看護師の心理社会的反応に対する支援とその効果に分類された.パンデミック下の看護師の心理社会的反応,心理的苦痛,心理変化や感情が明らかとなったが,調査地域は限定されていた.また,看護師のストレス軽減には,適切な個人防護具の提供,医療チーム間の相互支援,心理カウンセリングの提供,タイムリーな情報共有や教育支援の提供に加えて,心理的安全性を確保する包括的リーダーシップや勤務体制への配慮など,看護師とのコミュニケーションを中心とした組織的支援の有効性が示唆された.

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