2023 年 19 巻 p. 292-302
【目的】集中治療室(Intensive Care Unit;以下ICU)に勤務する看護師が患者の死に接するとき,死に対してもつ意識の構造を明らかにする.
【方法】現在ICU に勤務し,現部署で看取りの経験のある看護師11名を対象に半構造的面接を実施
した.分析はグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考にした.
【結果】対象者の語りより9カテゴリーが生成され,その内5カテゴリーによって《死を迎える患者との関わりで感じるICU看護師としての葛藤》を中心とするストーリーラインが描かれた.
【結論】患者の死にまつわる状況についてICU看護師は全身状態の変化から死を知覚していた.ICU看護師という自己の役割を自覚している故にICUで死が知覚されることに対して葛藤が生じており,ICU看護師にとっての死の意識が葛藤の根源ということができた.また死の知覚から死を意識したケアにつながることが示唆された.