日本クリティカルケア看護学会誌
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総説
重症患者家族のニーズの概念分析
福田 和明黒田 裕子
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2010 年 6 巻 3 号 p. 8-15

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抄録

本研究の目的はクリティカルケア領域における重症患者家族のニーズの概念を明らかにするために分析を行うことである.データベースから抽出された124件の文献と看護理論家の著作を対象に,Walker & Avantの方法を参考に分析した.
その結果,重症患者家族のニーズは7属性,2先行要件,10帰結であった.それらをふまえ,重症患者家族のニーズを「クリティカルケアを必要とする患者の家族(血縁・婚姻関係を問わない)が認識あるいは表明の有無にかかわらず,もし充足されなければ家族個人あるいはシステムに影響を及ぼす欲求・欲望」と定義づけられた.これまで主に扱われてきた心理社会的ニーズだけでなく,より重症患者家族のニーズを明らかにした上で調査研究を実施していく必要性が示唆された.また,そのためにも概念の特性をもとに,臨床現場での検証を経て,概念モデルの作成,新たな質問紙開発・検証,理論構築が必要と考える.

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© 2010 日本クリティカルケア看護学会
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