日本顎咬合学会誌 咬み合わせの科学
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原著
インプラント植立部位における矯正学的挺出の有用性
畑中 秀隆
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2009 年 29 巻 1-2 号 p. 41-44

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抄録
インプラント治療は,日常臨床のなかでさまざまな症例で応用されるようになり,的確な診査・診断のもとで用いることにより,患者,術者ともに満足の得られる結果をもたらす方法であることは論を俟たない.抜歯症例のインプラント治療においては,歯槽骨の治癒を待って骨質・骨量の良好な歯槽骨にインプラントを理入できれば,術者としてのストレスは少なくなるが,現実は治療期間の増大にともなう歯槽骨の吸収,隣在歯の移動,咬合の変化,審美性の欠如などさまざまな問題が生じる可能性がある.そこで,抜歯後即時インプラント埋入を行うことで,このような問題を解決できると考えられている. しかし即時理入を行う場合,骨量の問題や初期固定が得られるか,炎症によるダメージはないか,などクリアしなければならない問題も多い.1 つの方法として患歯に矯正学的挺出を施し,周囲の歯槽骨や軟組織の垂直的造成を戦略的に行うことにより,抜歯後即時インプラント埋入の予知性を向上することができるのではないかと考える. 本稿では,矯正学的挺出後に抜歯即時にてインプラント埋入を行い,良好な結果を得たので報告する.
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© 2009 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会
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